確定申告時期なので今回は「株で損をする」という最悪のケースに陥った時に、少しでも心が救わるテーマを取り上げます。

株式の売買で損してしまったが将来の節税になる?!

株式投資を特定口座(源泉徴収あり)で行っている方は、面倒な確定申告は原則不要です。

実際に株式投資を行っている方でしたら、証券会社で口座開設する段階でよくご存じだと思います。

口座を開設した時に「特定口座で源泉徴収あり」を選択した方は、証券会社があらかじめ税金を差し引きて計算し税務署へ納付をしているため、投資家自身では何もする必要がないためです。

ただし、「今年は譲渡損失が出てしまった!」

という方でも

「株式の運用は特定口座だし、給与分は会社が年末調整しているから今年も面倒くさそうな確定申告は不要」

と思っていませんか?

その年度中に株式の譲渡損失が発生してしまった場合は「譲渡損失の繰越控除」を行うためにも確定申告を行わないと翌年以後に

「やっと利益が出て過去の損失を挽回することができた!」

となった場合に、納める税金で損をする可能性がありますので、ここでは損失を繰越すためには確定申告をしなければならないことを知らなかった方のために簡単にポイントを解説をしていきます。

 

※他にも株式投資の口座として「特定口座(源泉徴収なし)」と「一般口座」が」ありますが、ここでは今一番利用されている「特定口座(源泉徴収あり)」で取引をしている方を前提に解説します。

※少額投資非課税制度(NISA)は、利益が出た場合でも取引額が120万円/年以下であれば非課税となるメリットはありますが、譲渡損失については繰越の対象外になるというデメリットがあります。

※このページでは「損失の繰越」だけをピックアップして解説したいので「配当金等との損益通算」や「特定口座を複数の開設している場合の損益通算」等は今回は割愛させて頂きます。

 

上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除という特例

不幸にもその年の特定口座で行った株式等の売却で損失が出てしまった場合、ご自身で確定申告(申告分離課税を選択)を行いこの特例の適用を受けることで、

「その年の譲渡損失を翌年度以降に最大3年間繰越しができるようになります」

言い換えれば、「翌年以降3年間の間に譲渡益が出た場合、繰越しで残った損失分だけマイナス(損益通算)して譲渡益を少なくすることができる」ということです。

特定口座の場合であってもその損益通算した分だけ「あらかじめ証券会社の方で差し引かれた税金の還付」を受けることができます。

国税庁HPの解説(読むのはなかなか難…)

確定申告の際には証券会社から発行される「特定口座年間取引報告書」が必要で、その書類に記載の損失等の情報を確定申告書の第三表と付表を添付し、申告すればOKです!

ざっくりどれだけ特になるか試算

  • 2016年度(平成28年度) 年間の売却益 △100万円(源泉徴収:0円)

→ 確定申告によりこの年の損失を3年間繰越

  • 2017年度(平成29年度) 年間の売却益 +150万円(源泉徴収:所得税と住民税で約30万円(20.315%))

繰越控除の適用 +150万円(今年) - 100万円(繰越損失) = +50万円

となり、今年の譲渡益は50万となるため、あらかじめ源泉徴収された税金30万円のうち20万円が確定申告により還付されることになりますので知らないと損をする特例ですね。

「特定口座だから確定申告は一切不要!」だと思い込んでいた方は過去3年間に損失が出ていなかったか是非思い出してください!

 

思い出したら過去3年間の間に損失が出ていた~!が何もやっていなかった場合の救済処置!

という方で「確定申告も何もしていなかった方」はご安心ください。

本当に何もしていなかった方だけ、損失が出た年分の「期限後(還付)申告」を行うことによって過去の損失を無駄にすることなく損失を繰越したことにできる手続きがあります。

ただし、「期限後(還付)申告」のできる方は

「申告義務がなかったため、確定申告をしなかった人」だけで

「特定口座(源泉徴収あり)を持っているが、その損失を含めずに確定申告をしてしまった…!」という方は、「その特定口座の損失を証券会社の方で完結する方法を選択した」と扱われるため還付申告することはできませんので要注意です。

また、損失の繰越の手続きを失念して確定申告しまった方のうち、特定口座(源泉徴収無し)であった場合や事業所得のための申告であった方である場合には

「更正の請求(申告したが間違っていたので修正して~)」

という手続きが過去5年間できる場合がありますので、あきらめる前に税務署や税理士、証券会社等に相談してみてください。